2019/1/6

勇気と希望をくれた絵

↑「第九の怒涛」(展覧会で購入したポストカードから)
 
 
昨年末、東京富士美術館で開催された「ロシア絵画の至宝展」で素晴らしい絵との出会いがありました。
この展覧会は、19世紀から20世紀初頭に描かれた絵画を集めたものです。
この頃は、ロシア絵画の転換期でもあったようです。
上流階級の人々がたしなむ「抽象的な天上の美しい絵」ではなく、大地に根差して生きる大衆の姿や、ありのままの自然の姿を描く画家が多く出てきました。
 
日本にいると想像できないような、雄大な自然。
美しく、豊かな恵みをもたらす自然はまた、とても厳しく破壊的な力を持つものでもあります。
その中で生きる人々の力強さ。
雄大な自然の美しさや厳しさ、そこに生きる人々の息づかいが感じられるような素晴らしい絵がだくさんありました。
 
その中でも、特に心惹かれたのが、イワン・アイヴァゾスキーの「第九の怒涛」という絵です。
縦2.2m、横3.3mのキャンバスの上に描かれているのは、嵐の海と、難破した船のマストの残骸に必死にしがみついている人たちです。
何とも救いのないように感じますが、その先には輝く太陽が描かれていて、それがとてつもない希望のように感じられるのです。
描かれている人間は、絵の大きさからするとほんのちっぽけです。
けれど、繰り返しやってくる困難にも決して負けない力強さを感じます。
 
脅威とともに希望ともなる自然。
そして、困難に負けずに立ち向かっていく強さをもった人間。
 
圧倒的な存在感を放つこの絵から、大きな勇気と希望をもらいました。