2018/11/24

症例「月経困難症」

↑サザンカが満開になり、冬の訪れを感じます。
 
 
20代女性。
社会人になってから生理痛が酷くなり、市販の鎮痛薬を内服。
生理前は気分の浮き沈みが激しく、頭痛、過食、便秘など様々な症状があり、生理が終わるとすっきりする。
ストレス、プレッシャーなどから徐々に症状が酷くなり、1年半前から低用量ピルを内服、
月経前の諸症状、月経痛ともに少し軽減するが、このまま薬を飲み続けることに不安あり。
 
その他の症状・・・社会人になってからじんましん。腹部から全身に広がる。
抗アレルギー薬を内服、一日も欠かせない。かゆみが酷い時は眠れないことも。
蓄膿症。
 
 
 <治療と経過>
肝のたかぶりから、気の停滞が強く、血(けつ)の停滞も起こしている状態。
また、身体に余分な熱、湿を溜め込んでいるため、緊張を緩めて気を巡らせるとともに、身体の余分な熱や湿を取る治療を行う。
週1~2回の治療を行い、1か月後にピル内服中止して初めての生理が来るが、
気分の浮き沈み、過食、頭痛、便秘は多少見られるもののかなり改善。
2か月後には、生理痛が軽くなり、鎮痛剤内服をやめる。
じんましんも徐々に良くなり、抗アレルギー薬内服終了。
鍼治療とともに、食事などの養生指導も行った。
この方の場合は、よく散歩をすること、内熱を取る夏野菜(治療開始が梅雨~初夏だったため)果物を多めにとり、バランスのよい食事をとること、間食は控えめに、食べ過ぎたときはその分歩くこと。
 
<説明と考察>
患者さんは、緊張状態が長く続き、肝鬱気滞と言って、気を巡らせる役割を担う肝の臓の働きが悪くなり、気の巡りがとても悪い状態でした。
肝気の巡りが悪くなると、便秘や頭痛、気分の抑うつ、イライラなどが見られるようになります。
気の巡りが悪くなれば血の巡りも悪くなり、酷い生理痛を生じます。
過食になるのは、食べることで気を緩めようと身体がしているからですが、身体の中に湿熱を溜め込んだり、脾胃(胃腸)を弱らせてしまい、じんましんや蓄膿症の原因となります。
また、気の巡りが悪いと、より湿熱を体内に停滞させやすくなります。
 
生理前から開始1,2日は通常でも気血の巡りが悪くなるため、普段から気の停滞が強い方は様々な症状を引き起こしやすくなります。
そこに熱や湿、胃腸の弱りなどが絡むと、さらに症状は多彩になります。
 
このような様々な症状は、酷い場合は日常生活にも支障をきたします。
気分の変動は、自分でコントロールできないので、とても苦しいものですが、
身体から整えていけばおのずと良くなっていきます。
心と身体は繋がっているという、東洋医学の「心身一如」の考え方です。
 
薬に頼らない身体にしたいと決断、鍼治療で体調が良くなり、夢に向かって新たなチャレンジも続けている彼女をこれからも応援したいと思います。