2018/11/14

鍼灸師は手が命

↑オレンジ色のピラカンサ。綺麗に色づいています。
 
 
「先生の手、温かくて気持ちいいです。」
こんな風に言ってもらうと、とても嬉しくなります。
脈を診る、お腹や背中、手足のツボを診る。
そのための手は、鍼灸師の命です。
 
「表を以て裏を知る」
これは、臓腑の状態は必ず外に反映され、体表観察によって、それを知ることができるという、東洋医学の考えです。
聞く、見る、におうことから得られることもたくさんありますが、やはり直接触れることは、特別です。
 
「手当てする」
という言葉からもわかるように、医療の原点は触れることにあります。
心身の状態を把握するだけではなく、苦しみや不安を感じる患者さんに、手の温もりを通して安心感を与えることが、どれだけ大切なことか。
 
何十年も鍼灸師をされている先輩方の手は、もうとても柔らかくてマシュマロみたいです。
顔はごついのに、手はマシュマロ(笑)のような先生方もたくさんいらっしゃいます。
診察を受けていると、気持ちよくて、安心して、寝てしまいそうになります。
 
私も、鍼灸師の命である手を守るために、様々工夫をしています。
夏でもハンドクリームは必須ですし、掃除や皿洗いなどの家事は炊事手袋が欠かせません。
冬になると、どうしても手が冷えやすくなるので、診療の前には散歩をして、身体を温めています。健康状態も手の感覚に影響しますので、当然ながら日々の健康管理もしっかりと。
 
そんな日々の努力は大切ですが、
何よりも、患者さんの診察を通して、鍼灸師の手は作られていきます。
患者さんの身体が訴えることを感じようと、一生懸命に向き合う、
その積み重ねの中で、手が変化していくのだと思います。
 
私の手を作ってくださる患者さんたちに感謝しながら、
柔らかくて温かい、マシュマロみたいな手を目指して、これからも頑張りたいと思います。