2025/4/16
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症例)不妊症 |
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![]() ↑ミツバツツジの薄紫色が綺麗。 <初診時> 39歳、女性。 半年前から不妊治療を開始。 タイミング療法で着床せず。 人工授精のために、今後採卵予定。 卵子の成長が悪く、強いホルモン剤を使用する予定と医師に言われている。 その他の症状 ・仕事はやりがいはあるが、同時にストレスも多い。特にこの数年。 ・夕食の時間が遅く、休みの日には間食をよく食べるのがストレス発散のひとつ。 ・肩がこりやすい ・冷え性、特に足 ・夕方疲れやすい <鍼灸と経過> 肝の臓の気の停滞、湿邪の停滞、腎の臓の弱りが見られる。 そのため、腎を補い、肝の臓の気を巡らせながら、湿邪を取り除く鍼灸を行う。 4診を終えたところで、採卵。 鍼灸を始めてから、尿がよく出て、体重が減少。 身体全体がむくんでいたのが、すっきりとした。 肩こりも楽になる。 7診を終えたところで人工授精、着床せず。 13診を終えたところで、人工授精。妊娠。 この頃には、手足がとても温かくなり、疲れにくくなった。 妊娠中の現在も鍼灸治療継続、8月に出産予定。 <考察と説明> とても頑張り屋の方です。 一生懸命に仕事をしてこられましたが、ストレスで肝の臓の気の停滞が長期にわたること、身体を酷使していたことから、腎の臓を弱らせていました。 また、甘いものや揚げ物などを多食することで、脾の臓(西洋医学の胃腸)に負担をかけ、結果、湿邪が停滞していました。 東洋医学では、妊娠は腎の臓がしっかりしていること、その上で、子宮や卵巣にあたる部分に気血・水が満たされ、滞りなく巡っていることが必要です。 そのためには、腎の臓以外の肝・心・脾を中心とした五臓の働きがしっかりとしていなければなりません。 このように、身体全体を考え鍼灸を行うことで、妊娠ができるとともに、冷え性がなくなりむくみがとれるなど、他の不調も改善します。 採卵前から体調を整えたことも、とてもよかったと思います。 また、1度目の人工授精の後、仕事が多忙で、肉体的・精神的に非常に負担がかかっていた時期がありました。 この時、すぐに2度目の人工授精をするのではなく、仕事が少し落ち着くのを待ったら?とアドバイスをしました。 卵巣・子宮・ホルモン値だけでなく、心身全体がよい状態でないと、妊娠すること、そして赤ちゃんが育っていくことができません。 不妊治療で来院している方が妊娠した時は、それまでの苦労(仕事の合間を縫っての病院通い、ホルモン剤の投与、着床しなかった時の絶望感など)をずっと見ているので、私も本当に嬉しいです。 喜びと共に、初めてのことで不安も大きいと思いますが、鍼灸で体調を整え、無事に出産の日を迎えられるよう、共に頑張りましょう。 ※同じ症状であっても、東洋医学的にはおひとりおひとり発症のメカニズムは異なります。 そのため、同疾患、同症状であっても、症状緩和に必要な鍼の回数は、その方によって異なります。 |
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