2024/7/10

守ろう感受性

↑気品があって美しい!
 
 
私が好きな詩人、茨木のり子さんのこんな詩があります。
 
『自分の感受性くらい』
 
「ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
 
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
 
苛立たつのを
近親のせいにするな
なにもかも下手だったのはわたくし
 
初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
 
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
 
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ」
 
(『女のことば』茨木のり子、童話社から抜粋)
 
 
この詩を初めて読んだのは20代のころ。
心にボディーブローをくらった感じでした。
 
今でも時々、なぜだか読みたくなります。
怒られているようで、励まされているような気になる。
忘れていたことをはっと気づかせてくれる。
そんな不思議な力を持った詩です。
 
鍼灸院に置いてある茨木のり子さんの詩集を見た、ある女性患者さんも同じように言っており、
ちょっと嬉しくなりました。
 
茨木のり子さんが生きておられたら、溢れる情報に溺れそうになっている私たちに、何と喝破してくださるのでしょうか。
「そんなことくらい自分で考えなさい。」
と、さらりとおっしゃるのでしょうか。