2024/4/19

症例「動悸」

↑マンサク、満開♪
 
 
50代女性。
8ヵ月前から、トクトクとした動悸、胸から喉に突き上げる感じ、喉から臍までの熱さを感じる。
病院で精査するが、心臓に異常なく、抗不整脈薬内服しても変化なし。
頻回に上記の症状があるため、日常生活にも影響があり、仕事量を減らしている。
 
<その他>
動悸が気になり、食欲もなくなったため、半年で6キロほど体重が減少する。
不安、焦りなどの感情にさいなまれる。
 
<鍼灸>
動悸発症前に、強いストレスがかかったことから、心の臓の気が強く停滞。
また、気の停滞が続くと、内熱といって、身体の中に余分な熱が停滞し、それが心の臓を犯したために動悸が起きたと考えました。
腎の臓の弱りもあったため、腎の臓を補いながら、心の臓の気の巡りを良くして、余分な熱をとる鍼灸をおこなう。
 
<経過>
週2回の鍼灸を続けて、3週間後には、ひどい動悸はほとんど感じなくなり、食欲が出てくる。
この後、ストレスがかかった時、多忙で動き回った時、暑くて湿度が高い時などに軽い動悸、胸の圧迫感が起こることがあり、以前のようにひどくならないかと不安に駆られることがある。
鍼灸を続けることで、3か月後には、頻度がかなり減少、日常生活にも支障なく、仕事も普通にできるようになった。
発症3年後の現在は、月に一度ほど体調管理目的に通院。
 
<説明と考察>
東洋医学で心の臓は、全身に血を循環させる働きがあるとともに、精神をつかさどっているため、心の臓に異常があると、動悸や胸の圧迫感、痛みなどを生じるとともに、不安を感じやすくなります。
東洋医学では、五臓六腑が互いに協調して、心身のバランスを保っていると考えており、この方の場合は、強いストレスが心の臓に影響したのと同時に、腎の臓の弱りがあったために、より心の臓への負担がかかった状態でした。
そのため、心の臓だけでなく、腎の臓の働きをよくする鍼灸をおこないました。
 
動悸や胸の圧迫感を感じる方は、西洋医学で心臓の病を指摘されている方も、心臓には何も問題ないと言われる方も、東洋医学的に見た時には、やはり心の臓の異常を示すツボに反応があります。
心臓に問題はないと言われても、頻回な動悸は非常に不快な症状で、不安にもなります。
長く続いた動悸が改善され、イキイキと仕事に励んでおられる姿を見ると、とても嬉しく思います。
 
 
※同じ症状であっても、東洋医学的にはおひとりおひとり発症のメカニズムは異なります。
そのため、同疾患、同症状であっても、症状緩和に必要な鍼の回数は、その方によって異なります。