2023/9/27
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症例「喘息(ぜんそく)」 |
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↑秋晴れの空にブルーインパルス ↑5機のジェットで花を描く 40代女性。 幼少期から喘息があり、季節の変わり目、寒冷刺激により喘息発作誘発。 何度か入院経験あり。 20代以降、常に吸入薬を持ち歩き、のどに違和感を感じると、すぐに使用していたためか、大きな発作は起こらず。 吸入薬の使用は、冬から春が多く、1年に一度くらいは、吸入薬で対処できずに、3日ほどステロイド剤の内服をすることがあった。 今年5月、頸部の痛みを感じ、おさまった頃に、高熱が2回出る。 その後、微熱が2週間ほど続いた後、酷い喘息発作を起こし、いつものステロイド内服では効果がなく、ステロイド剤大量投与を行い、仕事は休む。 一旦症状が落ち着き、ステロイドを減量するが、仕事を始めると再び息苦しさが出現。 再度、ステロイド増量し、休職する。 今回、ステロイド離脱に向けて、体調を整えるために来院される。 (その他) ・腎結石あり。腎機能の検査数値が軽度低下、腰痛を起こしやすい <鍼灸と経過> 腎の臓の弱りと肝の臓の昂ぶりが見られる。 加えて、飲食の偏りや、湿度の高い時期であったことから、胃腸へ負担がかかったことにより、湿痰邪が溜まっている状態。 これらが喘息発作を誘発し、なかなか改善されない要因となっていると考える。 腎の臓の働きを良くし、肝の臓の昂ぶりを抑える、 また、胃腸の働きを良くすることで、湿痰邪の排出を促す鍼灸を行う。 2診目、身体がすっきりとした感じがする。 これ以降、ステロイド減量しても症状出現なく、内服終了する。 仕事復帰まで7回鍼灸を行い、復帰後も元気に仕事ができている。 <考察と説明> 東洋医学ではそれぞれの臓腑が協調関係を保ちながら、心身機能を維持していると考えられています。 呼吸において、中心的役割を果たすのは、肺の臓ですが、 腎の臓、肝の臓も実は呼吸と密接な関わりがあります。 肝の臓が昂ぶり過ぎると、肺の臓の息を吸う、吐くという機能がうまく働きません。 また、腎の臓が弱ると、特に息を吸う力が弱くなります。 さらに、脾の臓(胃腸)に負担がかかると、水の循環がうまくいかず、湿痰邪が溜まり、これが切れにくい痰を誘発します。 この方は、もともと肝の臓の昂ぶりと腎の臓の弱りがあったところ、高熱を出し、肺の臓を弱め、喘息発作を起こしたと考えます。 また、前述したように、高湿度の時期と飲食の偏りから脾の臓の働きが弱くなり(脾の臓は高湿度に弱い)、痰が切れにくく、このことも肺の臓のスムーズな働きを阻害したと考えます。 同じ喘息であっても、肺の臓の機能低下と、他のどの臓腑の問題が関わっているのか、問診や体表観察(脈、舌、腹部の状態、ツボの状態など)から明らかにすることで、ただ発作を止めるだけでなく、根本的な体調の問題にアプローチし、発作を起こさない身体にするのが東洋医学です。 休職が必要なほどの病気はとてもつらいものだったと思います。 が、40代という、少しづつ身体が変化していく時期に、鍼灸を通して自身の身体と向き合えたことは、これから生き生きと元気で年齢を重ねるために、とてもよい機会だったのではないかと思います。 これからも元気に活躍してください。 応援しています。 ※同じ症状であっても、東洋医学的にはおひとりおひとり発症のメカニズムは異なります。 そのため、同疾患、同症状であっても、症状緩和に必要な鍼の回数は、その方によって異なります。 |
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