2019/10/13

回天で海に散った尊い命

↑大津島で見る夕陽。言葉にならないほどの美しさです。
 
 
瀬戸内海に大津島という人口150人ほどの島があります。
山口県徳山港からフェリーで30分ほど、猫がたくさんいるとてものどかな島です。
 
目の前に広がる穏やかな瀬戸内の海、沈む夕日、街灯がほとんどない夜の暗闇とまたたく星。
 
手つかずの自然が残る、とても美しいこの島に、太平洋戦争末期、人間魚雷「回天」の訓練基地がありました。
魚雷に大量の爆薬を搭載し、たった一人乗り込んだ隊員が、操縦して敵艦に体当たりするという作戦です。
ここ大津島には全国から20歳前後の先鋭が集まり、厳しい訓練を繰り返した後、祖国を守るために、ここから出撃していったのです。
出撃は命をかけて、すなわち死を意味します。
 
島には回天記念館があり、基地も残されています。
記念館には、命を失った隊員たちの写真と、訓練中や突撃前に家族にあてて書かれた手紙が展示されています。
両親への感謝や気遣い、兄弟姉妹への激励、任務を果たす決意と覚悟・・・
一言一言が、写真の真摯なまなざしとともに胸に迫ってきます。
 
穏やかな湾内にある基地まで、今も桟橋を渡って行くことができます。
突撃の日、彼らはこの桟橋をどのような思いで渡ったのでしょうか。。。
 
今、基地には静かな波が打ち寄せ、海の中をのぞくと気持ちよさそうに泳ぐ魚が見えます。
時折カモメの鳴き声や船の汽笛が聞こえるくらいで、とても、そうとても静かです。
今から70年ほど前にあったことが信じられないくらいに・・・
 
けれど、事実なのです。
尊い命を失った多くの若者たちがいたことが。
祖国のためと信じて。
その史実を私たちは決して忘れてはならないのです。