2019/9/9

症例「子供の頻尿」

↑名前はわかりませんが、揺れる髪飾りのような可憐な花です。
 
 
4歳女の子。
初診は3月末。
2週間前、風邪(透明~白い鼻水)をひいた。
その後、尿回数が増加、量は不明。色は変化なし。
夜、排尿のことを気にしてなかなか寝付けず。一旦入眠すると、朝まで眠る。
 
 
体表観察所見から、肝の臓の昂ぶりと下肢や腰部などの下半身の冷えが見られた。
特に膀胱の腑の状態を表すツボに顕著な冷えが見られた。
(排尿は腎の臓と膀胱の腑が主に担う。
また、肝の臓の「疏泄(そせつ)」という気を全身に巡らせる作用により、腎の臓・膀胱の腑の働きがスムーズに行われる。)
下半身を温めながら、肝の気を巡らせる鍼灸を行う。
数回の治療で、頻尿は落ち着き、夜もよく眠るようになった。
4月から元気に幼稚園に通い、現在も体調管理のために通院。
 
 
 主訴が出現したのは、春。
一年のうちで一番肝気が昂ぶりやすい時期に加えて、4月から幼稚園の年少から年中へ進級を控えていたことから、緊張のため、より肝気が昂ぶりやすい状況であったと思われます。
加えて、風邪をひいてから下半身が冷え、排尿を主る腎の臓・膀胱の腑へ影響したことが今回の頻尿発症の原因になったと考えます。(腎、膀胱の位置は身体の下部にあたります)
また、本人が頻尿を気にして、さらに緊張してしまうという悪循環にも陥っていました。
子供には、古代鍼といって、刺さずに軽く接触させる鍼を使用します。
このため、痛みは全くありません。
一度目は、緊張しながらの来院でしたが、鍼によって気持ちが緩んだのでしょう。
徐々に表情もやわらぎ、笑顔が見られ、幼稚園や家のことなど色々お話してくれるようになりました。
 
 
※同じ症状でも、年齢、体質、生活状況、発症からの経過時間などによって、鍼灸の効果は異なります。