2019/6/15

症例「肩の痛み」

↑何の花でしょう??
答えは檸檬です。薄紫色の綺麗な花です。
 
 
 
60代男性。
 
1か月程前から左肩甲骨に激しい痛みが出現し、徐々に左肩まで広がる。
整形外科に通院し、発症時の半分に痛みは減少するも、いまだ強い痛みを感じる。
痛みと共にだるさも伴う。
初診時は、夜間の痛みもあり患部を上にしないと眠れない。肩を動かすと腕にびりびりとした感覚があり、肩を回したり腕を挙げることができない。
 
その他・・・緑内障(左が特にひどい)、高血圧、めまい、咳喘息
 
<鍼灸と経過>
腎の弱りによって、肝気が上逆しやすい状態にあったところ、過労とストレスにより、それらが助長され、激しい肩の痛みを引き起こしたと考える。
また、痛みの性質(場所が一定、刺すような痛み、夜間痛)と、体表観察の情報から、痛みは気の停滞だけでなく、瘀血といって血の停滞にも至っていると考えた。
よって、腎を補い、正気が充実してから、血の停滞をとる鍼灸を行う。
 
5診目・・・肩の痛みはあるが、脈の力がでてきて正気が充実してくる。
9診目・・・痛みの範囲が肩と首に減少。
11診目・・・痛みがかなり楽になる。
     めまいや咳もなくなり、便通がよくなる
 
現在も体調管理のために、通院中。
 
<説明と考察>
東洋医学では、「不通則痛」といって、何らかの原因で経絡の流れが悪くなった時に痛みが引き起こされると考えています。
この患者さんのように、気の流れの停滞が長く続くと、血の停滞にまで至り、痛みはより酷く、難治性となります。
また、高血圧、緑内障、めまい、気逆咳など、肝の気の上逆が関係している症状がもともとあり、身体の上部に気の停滞がおこりやすい状況であったことが、肩(身体の上部)の痛みとも関係していると思われます。
特に、50代から60代以降は腎の弱りが出てくる頃。
腎の臓は、下半身を主っているため、より肝の気が上逆しやすくなります。
 
ひとことに痛みといっても、原因は様々です。
詳しい問診や体表観察によって、なぜ肩の痛みが起きたのかを明らかにすることが、症状の改善には欠かせません。
 
患者さんの肩の痛みが楽になり、趣味の釣りや海外旅行などを楽しんでおられること、とても嬉しく思います。
 
 
※同じ症状でも、年齢、体質、生活状況、発症からの経過時間などによって、鍼灸の効果は異なります。

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