2025/10/20

日中学術交流

↑ある日の夕暮れ。
 
 
私が所属する鍼灸の学術団体「北辰会」は、今年、海外交流が盛んです。
前回のブログではブラジルのことを書きましたが、7月には北辰会代表の新風先生と、講師の竹下有先生が、東方医学会の医師や医学生と、中国河南省を訪問し、現地の医師たちと学術交流を行いました。
 
河南省と言えば、『傷寒雑病論』を書いた張仲景(ちょうちゅうけい)が住んでいた場所。
この本は、ざっくり言えば、現代の「風邪」について書かれた本。
 
何がすごいのかと言えば、風邪の種類、罹患してからいかに進行していくかを事細かく分析し、それぞれに適した薬剤(漢方薬)が記されています。
また、その後の変化に応じた対処も書かれています。
 
ひとことに風邪といっても咳が出るのか、下痢をするのか、節々が痛くなるのか、などいろいろな症状がありますし、体質によっては、単なる風邪が重症化する場合もあります。
 
東洋医学の考えは、外邪(ウイルス、細菌、寒暖差など外からの影響)の特徴を見極めることはもちろんのこと、何より大切なのは罹った本人の体質と、進行しつつあるのか治癒傾向にあるのかの「時期」と「病の深さ」を見極めることです。
それにより治療も変わってくるからです。
 
この『傷寒雑病論』は、東洋医学を学ぶ者のバイブルのひとつと言える書ですが、書かれたのはなんと紀元220年。
日本は弥生時代です。
 
そのような昔に書かれた本が今も臨床で使われているということからも、東洋医学の歴史がいかに長いかがわかります。
 
今回の訪中では、張仲景ゆかりの地や、河南中医薬大学と附属病院を訪れたそうですが、この大学と病院、158へクタール(東京ドーム約3個)の敷地、教職員1587人、学生2万人‼
病院は、例えば小児科だけでも880床と、スケールが桁違い。
 
歴史の長さ、広大な土地、人の数など、スケールの大きさに圧倒された研修だったようです。
 
「今後、日中両国の学術交流がより活発化し、世界の患者のために、お互いにとって有益な情報を交換しながら力をあわせ、その結果として両国の伝統医学のレベルがさらに高まっていくことを大いに期待し、願っています。」
と竹下先生。
 
本当に。
私もこの言葉に賛同します。