2019/10/23

更年期を東洋医学で考える

↑風に揺れる秋桜。

 

今回は、当鍼灸院でも患者さんが多い更年期障害について書きたいと思います。

個人差はありますが、閉経をはさんだ前後10年間、一般的に45歳から55歳くらいまでを更年期といいます。

西洋医学では、更年期障害は卵巣機能の低下によるホルモンバランスの乱れから引き起こされるといわれています。

ひとことに更年期障害といっても症状は多彩です。

ホットフラッシュ、冷えのぼせ、異常な発汗、動悸、頭痛、動悸、肩こり、イライラ、腰痛、胃酸の逆流・・・本当に多彩すぎて、いったい自分の症状は更年期なのか?それとも他に原因はあるのか?と悩む方も多いと思います。

東洋医学では、更年期障害は「腎の臓の弱り」が根本にあると考えます。腎の臓は、成長、発達、生殖を主り、20代で最も働きが盛んになり、このおかげで妊娠、出産ができる身体になります。

腎の臓は、その後ゆるやかに衰えていき、50歳前後で閉経に至ります。

また、東洋医学では五臓六腑(五臓=肝の臓、心の臓、腎の臓、脾の臓、肺の臓)は単独で存在するのではなく、お互いに協力し合って機能を果たしていると考えます。このため、腎の臓の弱りは他の臓腑へも影響を与えます。

心の臓なら動悸、不眠、不安感など。

肝の臓ならイライラ、便秘、肩こりなど。

脾の臓なら、下痢、逆流性食道炎など。

肺の臓なら咳が止まらない、喘息などというように。

そして、腎の臓は身体のなかでも特に下半身をつかさどっています。

下半身が弱ることによって、身体の上下のバランスが崩れ、上半身ばかりのぼせる、上半身ばかり汗をかく、頭痛、めまいなど、上逆(気が上にのぼる)症状が出てきます。

腎の臓の弱りや、他の臓の状態は、個人の体質や生活習慣などにより大きく異なります。

多彩な症状が出るのはそのためなのです。

鍼灸院では、まず腎の弱りがどの程度なのか、他にどの臓腑に影響が出ているのか、上下のバランスの乱れはどの程度なのかを 問診や体表観察(舌診、脈診、腹診、背中や四肢のツボの状態)から明らかにしたうえでその方にあった鍼灸を行います。

更年期は、女性なら誰もが通る時期。

鍼灸治療で身体を整えて、その先の人生を健やかに過ごしていただきたいと思います。