2019/1/11
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症例「頭痛」 |
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↑水仙の花弁は形が様々です。 左側の花、黄色い花弁がおちょぼ口みたいで可愛らしい・・・。 20代女性。 もともと、降雨前などに頭痛を感じることがあった。 1か月前に風邪(咽痛、嘔吐、発熱)をひいた後から、頭痛が治らず、毎日鎮痛剤を2~3回内服する。鎮痛剤の効果は一時的。頭痛の性質は、肩、首から頭全体が重だるく、船酔いしているよう。 風邪をひいてから胃のむかつきがあり、食欲低下。 もともと、ストレスがかかると胃重感を感じ、食欲低下をきたしやすい。 (その他の症状) 頭痛出現してから便秘。 月経痛(激痛、2~3回/日鎮痛剤内服)や月経に伴う気分変動があり、半年前からピルを内服。 今回、体調不良になってから、ピルの内服をやめているが、生理来潮せず。 【治療と経過】 患者さんは元来、ストレスがかかると胃腸に影響をきたしやすく、湿邪を形成しやすい体質でした。 また、口渇があり冷飲を好むなど、身体が熱に傾いていました。 そこへ今回、風邪により体内にさらに熱を溜め込み、湿と結びついて、湿熱邪を形成したと考えられます。 湿邪の特徴は、重濁して停滞しやすい、治癒に時間がかかるということです。 この湿熱邪が、体内の気血の巡りを停滞させた結果、頭痛、便秘、月経来潮せずという結果になったと考えます。 また、本来、排便や月経により体外へ排出されるべき湿熱が体内に蓄積、さらに気血を停滞させるという悪循環が起きていました。 そのため、停滞した湿熱邪を体外へ排出させ、気の巡りをよくする治療を行いました。 1診目の治療後に排便があり、肩や首のこりがましになる。 3診目、鎮痛剤の内服をしなくても生活できるように。食欲が出る。 4診目、頭痛はほとんど気にならず。月経来潮。 現在、月経痛に対して治療継続中。 【考察と説明】 東洋医学でいう脾の臓は、飲食物から人間が生きていくうえで欠かせない気・血・精などの物質を取り出し、全身に巡らせる働きがあります。 同時に水の運化も担っており、脾の臓の機能低下は、体内に余分な水分(湿邪)の停滞を招きます。 湿邪の停滞は、身体の重だるさ、むくみ、気や血の巡りを悪くするなどを引き起こします。 また、もともと身体が熱を持ちやすい方は、風寒邪を感受(かぜをひく)した時に、熱と化しやすい傾向にあります。この熱と湿が結びついて、湿熱邪となり、 ・頭部を侵襲して頭痛 ・生理と関係が深い衝脈という子宮に気血を送る経脈を侵襲して、生理来潮せず ・胃腸の働きを阻害し、便秘 をきたしたと考えます。 そのため、脾の臓の働き及び、全身の気の巡りをよくして、湿熱邪の排出を促すことで、これらの症状が改善しました。 外からの邪気(いわゆる風邪と呼ばれるもの)は、風、寒、湿、燥、暑などがあり、気候や環境によって、どの邪気に侵襲されるかは異なります。 また、その方の体質や時間経過によって様々に変化しますので、今現在の状態を知るために、症状を含めた問診はもちろんのこと、舌、脈、ツボの状態の診察が必要になります。 働き者のこの患者さんは、一日に何度も鎮痛剤を内服しながら一生懸命働いており、初診時はとてもつらそうでした。 体調がよくなり、溌剌と仕事ができるようになり、本当によかったです。 ※その他の症例をご覧になりたい方は、このページの上部、ブログタイトルの上、赤字の「症例」をクリックしてください。 蕁麻疹、更年期障害、食欲不振、関節痛、月経困難症などの症例をご覧になれます。 |
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